地車の構造・部位解説

10問のクイズを見事乗り越えてきた人も、一気にこのページにやってきた人も、解説しましょう!少し図の番号が見にくいですがそこはご愛嬌ということでお願いします!



※解説は図面番号と相関
1・・・隣縣魚 となりげぎょ 別名降縣魚(くだりげぎょ) 拝縣魚の左右に位置し、桁の先端を隠す役割をした彫り物。(桁隠し)
2・・・車板 くるまいた 上地車で特徴的。縣魚の内側に位置する。龍や唐獅子がみられる。
3・・・拝縣魚 おがみげぎょ 破風正面下。元々は棟木を隠す役割を担う。青龍・朱雀などが多い。
4・・・破風  はふ 屋根の形状をいう。切妻造り形態(簡単に言うと三角の屋根)の一つ。直線ではなく、湾曲がみられる。

            
  切妻造りの建物       切妻造りじゃない建物

5・・・鳥衾 とりぶすま 一般の瓦屋根の家にもみられる。鬼瓦の上に配置する円筒状の瓦。鳥衾の”衾”は本来、平安時代に用いられた寝具のことをさす。転じて寝る所=寝所。鳥の寝る所で鳥衾と呼ばれるようになったという説もある。装飾的な目的が強いが、一説による鬼板を鳥の糞から守るためとも言われている。(ほんとかなぁー)
6・・・獅噛 しがみ  一般的には鬼板と呼ばれるが、獅子が噛み付いていることからここでは獅噛と呼ぶ。唐獅子を意匠化したものが多いが、武者や神話の人物なども見られる。(神戸市東灘区本山の田辺地車など)
7・・・虹梁 こうりょう 四本柱上部の架け橋になるもの。「虹のように曲線を描く梁」から来ている。
8・・・脇障子・・・わきしょうじ 地車の中柱の部分で側方にはりだす。地区により彫り物の題材は異なる。
9・・・笠木 脇障子の上部、水平方向に走る柱。
10・・・刎勾欄 はねこうらん こうらんの先端部は上方に向かって反る。神戸の地車に特徴的な形状。建築技術的に非常に難しく現代の地車工匠でも一本の木材でこの湾曲を再現するのは非常に難しいと言われる。
11・・・張菜棒 ちょうさいぼう 地車を動かす際に曳き手が力をこめる場所。
12・・・縁葛 えんかずら 勾欄を支える土台となる横木。細かい彫刻が施されている。
13・・・土呂幕 どろまく 土呂台と欄干の間を埋める木板。透かしの彫り物が入ることが多く、テーマは牡丹に唐獅子、武者など。
14・・・土呂台 どろだい 地車の底辺を形作る土台の役割を担う柱。彫刻は波など水に関するものとなる。大佐地車は特有の波を彫る。
15・・・コマ  車輪。コマそのものに補強のため鉄輪をはめることもある。地車により内ゴマと外ゴマがある。
16・・・箱棟 はこむね 屋根の頂を3枚の板で箱状の棟としている。側面には龍などの彫刻がなされる。
17・・・男屋根 おやね 2枚板になる地車の前部。前屋根ともいわれる。
18・・・女屋根 めやね 地車後部の屋根。後屋根ともいわれる。
19・・・桝合 ますあい 虹梁の上部を埋める。別名、欄間。枡と枡の間を埋めることから「枡合」とも書かれる。
20・・・三枚板 さんまいいた 地車後部、両側面と後面を埋める。大きな板に彫刻がなされる。三枚板は住吉型地車に特徴的であり、神戸型地車はこの部分に装飾のなされた幕がつく。(見送り幕)
21・・・角障子 すみしょうじ 地車後方角左右一対ずつ配置される。こちらも住吉型地車の特徴で神戸型にはみられない。
22・・・架木 ほこき 勾欄を構成する柱。地車上半部は神社を模した形となっており、勾欄には要所要所に金物が施される。材木としては黒檀を用いることが多い。
23・・・勾欄の彫り物 部位としては非常に小さなスペースだが、武者などの彫刻がなされる。
24・・・木鼻 きばな ”はな”とは端を意味する。唐獅子等の彫刻がなされることが多い。
25・・・担い棒 にないぼう 11の張菜棒と同義?地車を動かす際に力をこめる。


以上!ざっくりと解説するだけでもこれだけの部位に名前がついています。私も「地車は彫刻に限らずどこ一つとっても必ずなにか謂れがある」と教えてもらったことがありますが、まさにそのとおりです!ここで紹介したものでもまだ完全ではありません。「ここが違うぞ!」、「ここが足りないぞ!」、「これどういう意味?」などありましたらひがん太まで!答えられる範囲で答えます!答えられない時はもっと詳しい人を紹介します!(笑)



                                    
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